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​擺線シリーズ

 数ある写真表現のうち、超秒露光によって時間を凝縮させる行為ほど、心を揺さぶるものはない。静止しているものは、ただ静かに存在し、動体は、その形態を激しく変容させる。鉄の塊は溶けた蝋の如くやわらかく歪み、掴めない光は一瞬の存在を証明するかの如くに、その軌跡を克明に記録する。

 このステートメントは、2011年に発表した光海シリーズの一節である。これ以降、11年間にわたり長秒露光と光をキーワードに作品の制作と発表を続けてきた。

 今回、発表する「擺線(はいせん)シリーズ」では、長秒露光中にネット通販で買い漁ったクリスマスのイルミネーションをモーターとギヤボックスを使った自作の回転装置を用いて水平方向、垂直方向に回転させ、擬似的な光のサイクロイド(擺線)を描画させる事を試みた。サイクロイドとは、円を転がした時に円上の一点が通る軌跡を示すが、ギヤボックスの比を変えて高速回転させたり低速回転させることで多彩なサイクロイドを描けることが確かめられた。